レビューについて
※改良Ver済
ゲームに耐えるスペックと外観を両立したキーボードが欲しくて初期ロットを購入。結論を言えば返品した。
※スタビライザー不具合問題について
最初期ロットはスタビライザーの構造問題により交換対応をする騒動がありました。改良前後に関しても比較します。
※改良によりコイル鳴き改善、塗装耐久性向上、スタビライザ構造改善、チルトパーツ剛性向上がなされています。
総評
- ハイスペックなロープロファイル
- シンプルで上質なデザインの筐体
- 上記の組み合わせが現状独自の選択肢
- 基本的なロープロのメリットを持つ
- RPなどハイエンドな機能を有する
- なんやかんや48180円の価格設定
- 打鍵音が目立ち、リングでも静音は厳しい
- 価格に対して筐体以外に大きな感動はない
- ゲームのプロ向けとしては配列とキーマップが謎
- キーのスタビライザに問題があった
- 基本的なロープロのデメリットを持つ
- 過剰な機能にコストを割いた価格
- 改良で返却された特定キーのみ色が違う
☆2としたのは価格に対しての使用感が微妙とだったから。好みや重視するポイントで評価は変わりますが、価格を見てしまうと万人にはまるで勧められない製品と感じます。ロープロの優位性にどれだけの価値を感じるかどうかが焦点。
製造コスト等でギリギリの価格設定だそうですが、この価格を無視してフラットに評価するのも無理がある。デメリットに感じた要素の改善を重ねて次の製品に期待したいところです。
この記事の画像は以下のカメラを使用しています。
公式スペック
公式ページより以下にスペックを引用。
展開して観覧可能です
本体OS | Windows:Windows 10 64bit 以降 mac:macOS Monterey 以降 |
---|---|
ZENAIM SOFTWARE 対応OS | Windows / macOS |
キーボードタイプ | テンキーレス |
キー数(無接点キー数) | 93キー |
キーレイアウト | 日本語JIS配列 |
ライティング | RGBLED バックライト(1680 万色) |
スイッチ方式 | 無接点磁力検知方式 |
キーストローク | 1.9 mm |
アクチュエーションポイント | 0.3 ~ 1.8 mm |
リセットポイント | 0.2 ~ 1.7 mm |
押下圧 | 50 g |
チルト角 | 0° / 4° / 8° |
---|---|
N キーロールオーバー | 対応 |
アンチゴースト機能 | 搭載 |
接続方法 | USB(Type-C®) |
通信規格 | USB2.0 full speed |
使用温度範囲 | 0 ~ 40℃(結露しないこと) |
保管温度範囲 | -20 ~ 60℃ |
外形寸法 | 奥行139.2 mm、幅380.8 mm、 高さ24.5 mm |
製品重量 | 約723 g |
メリット
ハイスペックなロープロファイルの独自性
現状ロープロファイルでゲーミングとして名乗れるキーボードの選択肢が少ない。その有力な選択肢となるだけで十分な強みだと感じます。しかし重要なのはロープロファイルである必要があるかどうかであり、個人的には特別優位性を感じなかった。
アップデートでAP(アクチュエーションポイント)やRP(リセットポイント)関係に大きな改善がなされました。キーの入力と無効化の反応を最適化することで直感的で即反映可能な操作が可能となりました。スペックだけで言えば現状最高のポテンシャルを有しています。実用的かは別の話だが。
シンプルで上質なデザインの筐体
個人的にこれが1番魅力的に感じたメリット、外観の良さ。金属の素材感とシンプルなデザインは現状唯一無二。個人的にゲーミングキーボードは野暮ったい外観が定番となってしまっているのでスタイリッシュなデザインは好印象。
写真で魅力を伝えるのは難しいですが、他のキーボードとはデザインが異質であるため所有欲が満たされます。お気に入りのアイテムたちと並べても引けを取らないと感じています。
基本的なロープロファイルのメリット
基本的なロープロファイルのメリットを有しています。個人的にロープロファイルの強みと感じるのは打ち疲れの少なさなどが挙げられがちですが、そもそも打ち疲れを感じたことがないので褒めようがない。底打ちまでの浅さにより歯切れの良い特有の打鍵感は魅力に感じる人もいるかも。
個人的にはデメリットと感じる部分の方が多い印象となった。
デメリット
なんやかんや48180円の価格設定
この価格をデメリットに書かないのは嘘になる。コストはかかっているのだろうが使用感は単純に見合っていない。
大体の高級機に関してはコスパよりも、本人にとって必要か否かが重要ではあると思う。しかし高級機の中でも機材のコスパは目立って悪い方だと感じました。
打鍵音が目立ち、リングでも静音は厳しい
打鍵音はガッツリ底打ち音が鳴る。ロープロファイルであることからキーが薄いので通常よりも樹脂の衝突音が高音気味で目立つ音に感じます。ベース部分も薄いので衝突音はこの価格帯では大きめに感じます。また、この音は静音リングをかましても消音出来ません。私が一軍にしなかった最大の理由の内の1つです。
独自規格の軸であるためグリスを塗り込んだり換装したりバネを弄ったりなどのカスタムは他のキーボードよりハードルがとても高いです。打鍵音を気にする方には大きなデメリットでしょう。キーボード本体側の金属振動音は感じません。
ゲームのプロ向けとしては配列とキーマップが謎すぎる
ゲーミングとしてこのキーの配置が謎。買う前によくチェックすべきです。
数字キーとFn数字キーの間に空間がなく縦に揃っている謎配置。バックスペースキーの上にキルクリップとかいう迷惑極まりない不要なキーが存在する。プロ監修を本気で疑ってしまう誰も得しない配列デザイン。ゲーマーが望む配列とは到底思えないのが本音。
キーのスタビライザに問題があった
スタビライザとは幅のある大きなキー、EnterやSpaceキーなどの入力ストロークをスムーズに可動させる軸のサイドに配置された補助ガイドです。この構造が初期ロットでは大きな問題となりました。
スタビライザーが浅すぎてキーの端を入力すると徐々に傾いてスタビライザが外れる現象が発生しました。キーキャップ側の成形個体差説も捨てきれてませんが、この問題を認識した公式は全回収及び交換対応となりました。この対応自体はよいのですがプロ監修でこの構造は如何なものかと。下記の写真からスタビライザーが浅すぎて傾き安く外れやすい構造なのかと思われます(改善前Ver)。
現在この構造の問題は改善対応されましたが、一体何を監修して設計したのか、何をテストしていたのか疑問に思ったのが正直なとこです。改善されてこのデメリットが無くなるかとは思いますが、そんなことがあったよと書き記しておきます。
改良によりスタビライザの長さが伸びて、安っぽくガタガタだったスタビライザにガイドを追加して挙動の安定性を改善しています。
改良されたスタビライザ
改良品が届きましたので早速チェック。スタビライザにガイドが設置されましたね。初めからやることは出来なかったとは思いますが無償で対応してくれたので文句は言いません。
スタビライザも延長されてますね。傾きにくくなったので以前の外れる原因対策に貢献してると思われます。
基本的なロープロファイルのデメリット
互換性やカスタム性の低さに関しては多くのユーザーにとってデメリットに感じるかもしれません。
私の打鍵精度と癖による部分が大きいとは思うので個人差がある前提で少し話を進めます。
指を滑らせるように精度高く打鍵できる人には問題ない。しかし私のように普段のミスタイプは1%くらいはあるし、ある程度雑に底打ちまで入力する癖、誤爆しないようAPを最速設定しないタイプの人は慣れるまでミスタイプが頻発しやすいと思います。苦労して慣れるほどの労力をかけるリターンも特にないと思うのでロープロファイルの適性は購入前に考えておくべきと感じました。
ストロークが短いことで打鍵感は特有のものです。私にはロープロは合いませんでした。また、APやRPを使いながら調整してく人は物理的に設定幅が短いことや底打ちが浅いことに対してどう感じるかは高額つっ込む前に事前確認しておくと失敗を避けられるでしょう。
過剰な機能にコストを割いた価格
独自設計である軸の開発が高コストの要因の1つだそうです。確かにスペックは高いためアップデートにより細かい設定が可能になり現状のキーボードの中で1,2を争う性能を手に入れました。しかし現実的にその性能が強みとして機能するかは別の話で、そこにコストをかけまくってる製品が多くの人にとってオススメかと言われれば微妙という話です。
例えばゲーム内感度の設定が100段階だったものが、有料オプションで1000段階になる優位性に喜んで買う人がどの程度いるだろうか?APが0.05mm単位で調整が出来てもその単位で実際に調整する人がいるのか、ここを安易に利点として取り上げる人もいるが個人的にはそんな単純なものでもないと思っています。
Wootingから始まった追従RP機能ですが、ある程度のキー反発と長いストロークとの相性がいいと考えます。底打ちまでが短いロープロファイルで中間ストロークの繊細な設定は恩恵を感じにくいってのが正直なところです。それよりも静音にするなり価格を下げてほしかった。
改良返却されたら特定キーのみ色が違った
とりあえず個体差の可能性もあるのだが初期ロットのみ管理でこの個体が混じったという意味でも少しキツい。
今回問題となったキーであるEnterやSpace、Shiftとは別にFとJの色が違う。おそらく改良塗装キャップを交換品だけ混ぜた方となってると思うが擁護できない。
初期ロットのお客さんを3ヶ月待たせた対応がこれなのは厳しい。確かにスタビライザが外れるリスクは減ったが、この色の品質管理はどうなっているのか?先行提供してる人は何故声をあげなかったのか?テスト体制はどうなっているのか?個人的にガッカリ具合が物凄い。
色々モヤモヤしていたが、どうやらモノに対して求める品質や拘りは私と違う方向性のようです。今後の販売分は全部入れ替えとかになってくるかもしれませんが、これを世に放つ品質管理だと私はこのメーカーにキーボード5万円は正直厳しいものがあります。
まとめ
ロープロファイルでなければならない人がハイスペックを求めると現状ZENAIMが強い選択肢になる。コレに尽きると思います。
細かい機能よりも、ゲーム運用でのロープロファイルの評価が満足感の大きなウェイトを占めるでしょう。ロープロファイルが必要でない人には見た目以外に特段メリットがなく、価格設定がハードルになるだろうなと感じました。結果として私は返品しました。
新興ブランドとして面白い製品ですので次の製品展開も注目されると思いますし個人的にひっそりと応援しています。しかし品質管理にはガッカリしたし、これをテストや先行段階で声をあげられなかった忖度体制のようなものに落胆しました。今回に関しては厳し目の評価になります。
反応速度検証 vs Wooting60HE
反応速度比較
レビュー動画
編集時間が取れないため、速報性を重視して先に雑なレビュー動画をアップしておきました。